トップ 婦民とは? 婦民新聞 主張・見解 イベント情報 入会案内 部会の部屋 支部の部屋 お問い合わせ / 交通アクセス

婦人民主クラブ > 主張・見解 >  生存権裁判熊本地裁の勝利判決を力に

主張・見解

生存権裁判熊本地裁の勝利判決を力に

婦民新聞第1709号(2022年6月20日号)より

 国が二〇一三年に実施した生活保護費の基準引き下げは、生存権を保障した憲法に違反するとして、生活保護利用者三十六人が熊本市などに引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟の判決が、五月二十五日熊本地方裁判所でありました。

 熊本地裁の中辻裁判長は、厚生労働省による引き下げの過程や手続きは、「裁量権の逸脱又は乱用で、生活保護法に違反し違法だ」として処分を取り消す、原告全面勝訴の判決を出しました。全国二十九都道府県でたたかっている同種の訴訟では、十件目の判決であり、「処分取り消し」は、昨年二月の大阪地裁判決に次ぐ画期的なものです。

 一二年十二月の衆議院選挙で、生活保護基準の一割カットを公約に掲げ自民党が政権に復帰しました。安倍政権は、一三年〜一五年に生活保護基準を平均六・五%、最大一〇%引き下げました。

 今回の判決では、二つの問題点を指摘。一つは、生活保護世帯の物価指数≠ノついて「保護世帯における消費支出の割合が低いテレビやパソコンなどの物価下落を過大に評価した」。もう一つは「原油高など特異な物価上昇があった〇八年を起点に下落率を算定したことに合理性があると認めることは困難」としました。国・自治体は生活保護利用者の厳しい生活実態を真摯に受け止め、生活保護基準を一三年の引き下げ前に戻すべきです。

 急激な物価上昇の下で、賃金は上がらず年金の引き下げも実施され、国民の生活苦は深刻です。勝利判決を力に憲法二十五条が生きる政治を求めていきましょう。

▲ページ上部へ