主張・見解
国民監視の 「土地利用規制法案」 は廃案に
婦民新聞第1677号(2021年6月10日号)より
「土地利用規制法案」が五月二十九日、衆議院本会議においてわずか十二時間の質疑で採決強行、自民・公明・国民民主・維新の会の賛成多数で可決、参議院に審議が回り、今国会での成立を狙っています。
「土地利用規制法案」は米軍基地や自衛隊基地、原発などを「重要施設」とし、その周囲約一キロメートルと国境にある離島を「注視区域」と指定し、土地や建物の所有者、賃貸人など全ての住民の情報や利用状況を調査することを定めています。また司令部を置く基地等の「特別注視区域」では、土地・建物の売買に事前の届け出を義務付け、調査の結果、政府が「重要施設の機能を阻害する行為やおそれがある」と判断すれば土地や建物の利用中止の勧告・命令を行い、応じない場合は刑事罰を科すというものです。
しかし調査項目や規制の内容、処罰の対象などは法案成立後、閣議や政令、省令で定めるとし内閣総理大臣に白紙委任していることも大問題です。
同法案では沖縄や離島では全住民が監視下に置かれ安全な生活を守るために行っている調査や抗議など住民の正当な活動を委縮させる狙いも明らかになっています。「安全保障に寄与すること」の名のもとに平時のうちから有事を想定し、私権の制限をすることは憲法の平和主義に逸脱しています。
安倍・菅政権が進めてきた特定秘密保護法、共謀罪法、「戦争法」と一体となった法案であることも明らかです。国民監視、私権制限と運動弾圧の「土地利用規制法案」は必ず廃案にさせましょう。