主張・見解
表現の自由守るための重要な調査・所見
婦民新聞第1522号(2016年5月30日号)より
国連人権委員会に任命され、表現の自由を担当する「特別報告者」、デビット・ケイ氏が四月に来日しました。この訪問は、国際社会が日本における表現の自由について危惧していることを示すもので、今年の訪問予定は三か国、他の二国は厳しい報道規制で知られるタジキスタンとトルコです。ケイ氏は、ほぼ一週間にわたる調査を終え、暫定的な所見を発表しました。
ケイ氏が最も懸念を抱いたのは放送法第四条、放送が「政治的に公平であること」という条項のもとで政府がメディアに圧力をかけ、その独立性を脅かして、ジャーナリストの多くが政府の強い圧力を感じていることです。
二〇一四年の衆院選挙で自民党首脳は、テレビ局に「報道の中立性・公平性の保証」を求める文書を送りつけて自民党を批判する報道に圧力をかけました。NHKでは人事を握って放送内容にまで実質的に介入し、民放に対しては、政治的に公平でなければ「電波停止」とまで言及しています。政府を批判していたキャスターが次つぎに降板したのは最近のことです。
ケイ氏は「何が公平であるかについて、いかなる政府も判断すべきではない」として、放送法第四条の削除と、ジャーナリストが政府に抵抗し、圧力を跳ね返すための連帯と共同の組織をつくることを提案しています。
秘密保護法についてもメディアを萎縮させ、原発や安全保障について国民の知る権利を危険な状況にしていると指摘しています。正式な報告は来年ですが、表現の自由を政府に守らせるよう強く要求していきましょう。